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仙台家庭裁判所 昭和49年(少)111号 決定 1974年4月03日

少年 G・I(昭三一・一〇・二三生)

主文

少年を、中等少年院に送致する。

理由

(非行事実ならびに適条)

当裁判所の認定した非行事実ならびに適条は、司法警察員作成の昭和四九年二月四日付少年事件送致書記載の犯罪事実ならびに罰条記載のとおりであるから、これを引用する。

(主文記載の保護処分に付する理由)

1  少年は、当家庭裁判所において、昭和四八年二月九日窃盗保護事件(昭和四六年一一月一六日から昭和四七年六月一二日まで=中学三年生時から高校一年生時にかけて前後五回にわたるオートバイ盗)により仙台保護観察所の保護観察に付されたものである。

2  本件は、普通自動車を盗んで無免許で運転したものであるが、右運転中道路端の電柱に激突して自動車を大破した上逃走したもので、犯情きわめて悪質危険なものである。

3  当裁判所は昭和四九年三月二日本件につき、強力な保護観察所の指導にゆだね相当期間経過を観察するのを相当と認め家庭裁判所調査官西田博の試験観察に付したところ、少年は叔父方家具店で稼働するうち、同月二三日友人の誘いに応じてバイクを無免許で運転し、白バイの追跡をうけるや高速(時速一一三K位)で逃走し、翌二四日家出上京しその後所在不明となつたため、緊急同行状の発付をみるに至つたものである。

4  少年の資質面における問題については、仙台少年鑑別所の鑑別結果通知書に記載のとおりであり、家庭の保護能力も乏しいこと、少年の所謂「カーキチ」とも言える。上記の如き一連の衝動的交通違反歴をみると、今後も同種非行を犯す危険はきわめて高いものと思料される。

5  上記諸事由を総合すると、この際少年を施設に収容の上、交通法規に対する遵法精神の涵養と基本的生活指導に重点をおいた教育が望ましく、その施設としては、昭和四九年四月上旬発足予定の戸塚山交通学園が相当と認められるので、少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項により、主文のとおり決定する。

(裁判官 伊藤政子)

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